歪んだ伝統

〜ブルー編考察〜

 

1、はじめに

ブルー編、無事にクリアできましたでしょうか
突然画面がセピア色になり、「THE END」の文字が出てきて驚いた方もいらっしゃるでしょう
よく質問用掲示板で、「これはフリーズですか?」とか「本当のエンディングはどうやったら見られるのですか」
という質問を受けますが、あれが本当のエンディングなのです
発売当時、あのエンディングには多くの批判がありましたが、この演出は安易に駄目と決めつけられるものでしょうか?
このエンディングに対して、制作スタッフは解体真書にて
ただ、満足するエンディングにしたくない。ゲーム中に語られなかった部分について想像してほしい
と語っています
小説や漫画などにも、ラストをあえて明かさないという手法は多く存在します
ブルー編もそれと同じでしょう。かえってここで結末を描くのは野暮かもしれません

ここでは、私がブルー編で、語られなかった部分についていろいろ書いてみようと思っています
以下に書くことは僕の想像であり、考え方のひとつにすぎないということを承知しておいて下さい
これを読んで自分なりの結末、物語を想像して頂ければ嬉しいです
なお、ここではマジックキングダムの人たちの言うことは全て真実だという前提のもとに話を進めています
人間、死に際に嘘は付かないものですし
なにより、ここまで疑ってしまうと想像の余地がなくなってしまうからです


2、キングダムの狙い

まず、ゲーム内で語られていた部分を再確認し
キングダムが何をしていたのかを考えてみたいと思います

「地獄の者どもからキングダムを護り、ひいてはすべてのリージョンを護るのが我々の役目だ。
「そのためには強い魔力を持った術士が必要なのだ。

これは、女神像の中の新生児室で倒れた、キングダムの術士の言葉です
このセリフから、キングダムの狙いは
強い魔力を持った術士の育成をし、その術士に地獄の封印をさせる
にあることが分かります

では、強い魔力を持った術士はどうやって育成するのか?
それは、今までのイベントから容易に理解できます

強い魔力を持った新生児を二人の人間に分け、別々の教育を施す
その後成長し、選ばれた双子()を外遊させ資質の修得を通じてその魔力を鍛えさせる
最終的にその双子同士を対決させ、どちらか一方が吸収するといった形で最強の術士を作り出す

簡単に言えば、このようになるでしょう
そして、一人前の術士の条件は資質の数ではなく、魔力そのものだと思われます
封印に時術や空術が必要なら、
なぜそんな大事な術の資質を麒麟や時の君に持たせたままにしてあるのかという疑問が残ります
ブルーやルージュ以前にも、強力な術者を作るために
同じように双子で資質の取り合いをさせられていたはずです
この修行の目的は、資質修得を通じて魔力を鍛え
双子で争わせることによって、その魔力を倍増させることにあったのでしょう
資質集めに負ければ死が待っている・・・
そうなると否応にも自己鍛錬に励まざるを得なくなり
キングダムの思惑通りということになるでしょう

こうして作り出された強力な術士は、前任者によって封印の技術を教えられ
地獄を封印し続けるという役目を与えられるのではないかと考えられます

:厳密にいうと違うのですが、この二つに分かれた人間を以降、双子と表記します


3、ブルーとルージュ

ブルーとルージュは何故あんなに性格が違うのでしょうか?
ブルーは、はっきり言って嫌な奴の部類に入るでしょう
一応、仲間を集めはしますが、全て自分の資質取得の為であり、協力や友情など頭にないようです
それに対してルージュは設定上「いい奴」ということになっています
なんだか、ブルーファンから罵声が聞こえてきそうですが、
ここで言いたいのは、ブルーが悪い奴、ルージュがいい奴ということではなく
どうして、こうまで性格が反対になってしまったのかということです

二人の性格が正反対なのは、二人が別々に育てられ、それぞれ違う教育を受けたからでしょう
オープニングでの学長の言葉にも

今日、別な場所で
貴方の双子の片割れのルージュも
同じように終了の日を迎えています

というのがあります。このセリフを見る限り、
ブルーとルージュが別々の環境で育てられたのは、ほぼ間違いないと見てよいでしょう

では、なぜ二人を別々の環境で育てるようなことをしたのでしょうか?
すぐ思い付く理由として、二人に肉親の情が生まれるのを防ぐというのが考えられます
キングダムとしては、最終的に双子同士で殺し合いをして、融合してもらわなければ困るはずです
したがって、しっかり殺し合いをさせるためにも、二人の接触はできるだけ避ける必要があります
ただ、この理由だけだと、二人を全く正反対の性格にした理由を説明できません

では、二人を嫌な性格と良い性格に分けた理由はなんでしょうか?
それは、正反対の性格にすることによって二人の行動パターンを、
全く逆のものにするためであると考えられます
世の中には、非情に徹して冷静に物事を進めたほうがうまく行く場合がありますし
その逆に人との繋がりを大事にして協力して当たった方が良い場合もあります
行動パターンが同じで、二人が同じ資質を狙い争いになってしまったら
その魔力を強化する前に合体を許してしまうことになってしまいます
キングダムは二人の性格を反対にすることによって
集める資質も逆になるようにしたのではないでしょうか?


4、地獄の君主戦

ブルー()はラストバトルで勝利したのでしょうか?
サガフロ中最大の謎のひとつである、この問題を考えてみましょう

「では、ブルーか、ルージュか・・・ ならば期待も持てる

地獄に飛びこむ直前に話す男のセリフです
このセリフを見る限り、全く歯が立たないというわけではないということが分かります

しかし・・・ ここでひとつの疑問が起きます
キングダムの人々は地獄の君主の存在を知っていたのでしょうか?
封印を復活させる方法についてキングダムの人々は次のように述べています

「封印を復活させるのよ。そのためには地獄へ行って敵の力を弱めなければ・・・・

地獄の君主のことは一言も言ってません
以下は僕の勝手な想像ですが、
地獄の君主の存在はキングダムの術士たちにとって予想外のものだったのではないでしょうか
いつもは、地獄の敵といっても天使くらいしかいなかった(それでもキングダムにとっては脅威ですが)
しかし突然、地獄の君主のようなずば抜けた能力を持つものが現れた
瞬時にして強大な力を得た地獄は、封印を破りキングダムを壊滅させた・・・

キングダムの人々にとって地獄は脅威だったはず
それは、わざわざ怪しげな学院を作っていることからもよく分かります
当然、地獄への防御は十分すぎる警戒をしていたと思われます
にもかかわらず、封印の解除を許してしまったのは上記の理由からだと考えられないでしょうか?
そう考えると、ブルージュの勝利も怪しくなるかもしれません

:ここから先の主人公はルージュである場合もありますが
  ここではブルーということにさせて頂きます


5、封印について

では、続いて地獄に施した封印について考えてみましょう

第2項で述べた通り封印とは、マジックキングダムの悪しき伝統にて強化された術士が
地獄の力を封じる為に施したものと言えます
従って、ここで破れた封印を復活させるのもブルーの仕事だと考えられます

「一旦地獄へ行くと、地獄の力を弱めないかぎり、戻ることは出来ない。
それから、地獄でゲートの術を使うと混沌の間に飛ばされる。
行くのなら、アイテムは私が預かろう。

これは、地獄へ行く直前に話す男のセリフです
これによると、地獄から戻れないのは封印によるものではなくて
地獄の力によるものと考えられます
マジックキングダムに封印を施す技術があるのなら
地獄にも何らかの結界を作る能力があるのかもしれません
それによって互いに不可侵の状態を保ってきたのでしょう
今回の場合はその結界が侵入者を逃がさない方向に働いたと考えられます

つまりキングダムの助かる道は
地獄の力を弱め、ブルーが生きて帰り、キングダムの術士とともに封印を施す
これしかないと考えられます

もちろん、地獄の力を弱めるにはその元凶である地獄の君主を倒さなければならないのは言うまでもないでしょう


6、結末予想

以下は完全に僕の創作です。鵜呑みにしないようにしましょう

キングダムに帰還したブルージュがまず考えたのは
今まで自分にとって絶対であった、キングダムの間違った行いでしょう
非人道的な方法を用いてまで施した封印が簡単に破られたのを見て
キングダムのやり方がいかに脆いものかを悟ったのでしょう
図らずともキングダムのやり方に荷担してしまったことに対する贖罪と
罪の無い子供達を救うためにブルーは地獄へと赴くわけです

地獄の君主を倒し、ブルーが考えたのはなんでしょう
このままキングダムに戻り封印を施したのでは今までと同じやり方を許すことになる・・・
そうなると、考えることはひとつ 地獄の破壊ではないでしょうか
すでに地獄の君主との戦いで疲弊したブルー
しかし、体力の回復を待ったのでは地獄の復活を許してしまう
そこでブルーが取った道は・・・
自らの命を賭して地獄を破壊すること
最後の術士である自分がいなくなれば、同じような犠牲者がでることもない
そんなことも考えたのではないでしょうか
かくして、地獄は破壊されキングダムには永遠の平和が訪れた・・・


7、あとがき

ブルー編について語っていたら、ずいぶん長くなってしまいました
ここまで読んだ方、お疲れ様でした

僕がなぜ、このようなものをわざわざ書いたかというと、
皆さんにブルー編の隠された部分を考えて欲しいからにほかありません
たとえ本編で語られていなくても、それを調べる手段はいくらでも存在しますし
考える余地も多く残されています

ここに挙げた考察はほんの1例に過ぎません
エンディングがしょぼいと嘆く前に、もう一度自分なりに物語を考えてみましょう
プレイヤーの数だけ、物語が存在する… それがフリーシナリオなのですから…

自分はブルー編についてこう考えるというのがありましたら
掲示板などで、語ってくれると嬉しいです


8、おまけ

アスペクト社より発行されている、サガフロンティア裏解体真書にて
ディレクターの河津氏がブルー編のインタビューに答えています
ここで、2〜3をピックアップし紹介していきたいと思います
ディレクター自身が答えているので、公式なものと見て間違いないでしょう

Q ルージュにもブルー抹殺命令が出ていたのでしょうか?

ブルーが修士終了式に出席しているときに、
ルージュもマジックキングダムのどこかでブルー抹殺司令を受けています
じつは、マジックキングダムには”表の学院”と”裏の学院”という二つの学院があるんです
裏の学院は存在すらも最重要機密とされていて、そこに双子のうちのひとりが隔離され
表の学院と同じように魔術の修行を課せられます
そして、終了式で校長から「双子の兄弟を殺せ!」と命令されるわけですね

Q ブルーが女神像の前で「偽りの女神め…」とつぶやくのは、なぜですか?

ブルーとルージュの関係や、
学院の地下に封印されているものを隠されていたことに対する怒り、
ブルーにとって絶対的な存在だった
マジックキングダムが崩壊してしまったことへの言葉に出来ない思い…
そういったものが重なって出た言葉です

Q 地獄への入り口で、倒れている人が語る「お前達は本当の…」のつづきは?

お前たちは本当の双子だったんだということです

Q 地獄に天使がいる理由は?

あの空間は太古の昔に、クーン編に登場する”指輪”の力を使って
マジックキングダムが作り出したものなんです
本当は天国のようなところを作りたかったけど
見た目だけが天国で中身は地獄という空間になってしまった
それで、地下に封印しているわけですね


ブルー編イベント

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